死が二人を別っても 序章 「うわぁ!!」 誰かの絶叫が響く。 耐えきれなくなった天の雫が、ポツリ、ポツリ、どんよりとした灰色の曇から落ち始めたのを合図にしかたのように、一人二人が後退し始め一斉に走りさってゆく。 瞬く間にアスファルトを黒く染め上げ始めたにも関わらず、豪雨と言っても言い降りしきる雨の中、誰一人躊躇することなく我先にと人々は外へ飛び出す。 晴れの衣装が雨を吸い、あっという間にぐっしょりと濡れようとも構うことなく。 皆が我先にと出て行く中、たった一人式場に残された少女は、初めて参加した結婚式で、真っ赤にそまった花嫁をぼんやりと眺める。 花嫁の目には誰の姿も入らない。 自分の夫以外、誰も目に入らず、彼女は恍惚とした顔で囁く。 「これで、永遠に貴方は私のもの」 花嫁は恭しく、新郎の首を掲げて口づけをする。 それは、神聖な誓い。 永遠の愛を交わす、神聖不可侵にして守られるべきもの。 「お父さん、お母さん、ここで、お式あげたい」 娘の言葉に両親は表情を曇らせる。 古い洋館を移築した洋館は、最近流行のウェディングレストランとして、近々リニューアルオープンする予定だ。 レストランとしての評判は上々で、ウェディングレストランとしてオープンしても、きっと評判はいいだろう。 東京から少し離れてはいるが、自然に囲まれその分雰囲気が良い。 英国式の庭園は結婚式の写真を撮るのにも最適のロケーションとなるだろう。 だが、両親の顔は娘同様に晴れやかな顔とはならなかった。 真新しい赤い絨毯を見て、眉間に皺を刻む。 その表情には、娘も気がついているはずだが、彼女は構うことなく一歩、一歩、足を進める。 まだ、誰も踏みいれていないバージンロードへ。 真っ赤に染まったバージンロードを歩くの。 大切な人に向かって。 まだ少女の面影が残る娘は、楽しげに口許を歪めながら、真っ赤なバージンロードを楽しげにあるく。 鼻歌を歌いながら。 ここを歩けばあの人は永遠に私のものね。 彼女はそう呟くと、真っ平らなお腹をそっと撫でる。 そこに、宝物が宿っているかのように。 優しく 優しく そして、禍々しい笑みを浮かべて。 囁く。 永遠の愛を誓ってくれますか? |
今回の話は、麻衣の単独行動中に不可解な事件に巻き込まれた話になりますので、比率的にはオリキャラとの絡みの方が多い話になります。 まぁ、ナル麻衣前提での話には変わりませんが(笑) 序章が短くて、なんだか話の参考になりませんが・・・すみません(>< 一章を切り抜こうとすると、半端でぶったぎれずさらに全部載せるとすでに1/3になっちゃうので!(笑) あらすじ的には、中学の同窓会で久しぶりにあった同級生 筒井恭平から麻衣は彼女に子供が出来てしまったと相談を唐突にされる。 相談・・・というよりも、混乱している筒井の話を聞かされ、麻衣だったらどうするか?と尋ねられ、自分の考えを告げる。 それが、どう筒井に決心させたのか判らないが、二ヶ月後、麻衣の元に結婚式の招待状が届く。 招待を受け、結婚式に参列することになった麻衣なのだが、古い洋館を利用したウェディングレストランの会場に着いたときから、誰かに見られているような視線を感じる。 幸せいっぱいの華やかな式になるはずが、麻衣の中で次第に不安が膨れあがってゆく。 この結婚に、不安を感じるのはなぜか。 違和感。 膨れた不安がたどりついた先には・・・・・・・・・・・・・・ な。感じです。 ダイジェストで言うと。 たぶん(笑) ちなみに、麻衣が結婚するんじゃないです。 あくまでも招待されただけです。 そして、天華的都合により・・・・招待客の描写は超限定的・・・・ 結婚式、親族は親族部屋に引きこもっているもんだから、顔会わせていなくても不思議はないのよ! なんて、開き直っちゃ駄目ですか?(笑) いや、だって私、親戚の結婚式に参加しても新郎新婦の友人達と顔を見たのは、会場内だけだったからさ。待合室は完全別室で一度遭遇しないし。関係無いからどっかですれ違っても言葉も交わさないしねぇ。←性格的に見知らぬ人間は意識から除外する・・・・アハハハハ。すっげー無愛想です。ええ。 友達の結婚式に参加したときも、周りは友人や同僚で親族とは顔を合わせなかったし。 そんなイメージを突出して限定しておりますですよ。 |