燃え尽きぬ恋





 誰も一言も口を開けなかった。いったい誰が想像しただろう。綾子と安原少年の濃厚なキスシーンだなんて。ナルが目の前で麻衣に何度かキスをしたのは見たことがある面々も、それ以外のメンバーのキスシーなんて一度も見たことがないのだ。凝視していい物やら、視線を外すべきなのか困ってしまう。
 麻衣は顔を真っ赤にしたまましばらく呆然としていたが、すぐにぱっと俯いて視線を逸らしてしまう。滝川達は頬をポリポリとかきながら、明後日の方向を見ているし、ジョンは真っ赤になっておどおどしている。リンとナルに至っては…興味なしとばかりに最初から視線を歌子姫に固定していた。
 一瞬目を見開いた安原だが、さすが越後屋というべきだろうか。さらりと動揺を隠して、綾子の腰に何気なく腕を回している。ただ、棒立ちになっていたら恋人同士の口づけには見えないだろう。
 良くて年増に襲われる純朴な青年といった構図だ。もしも、この時綾子が選んだ生け贄が安原でなくジョンならば、確実にそう見えただろう。
「これでどう!?」
 充分なほどのキスシーンを演じると、綾子はくるりと振り返って文句はあるのかっと言わんばかりの勢いで叫ぶ。歌子姫はしばらく唖然と見ていたのだが、肩をプルプルと震わせて握り拳をしていた。ここまでヤッてまだ文句があるというのだろうか?
『お前達でないというならば、わたくしからあの御方を奪った憎き女はどこへ行ったのだ!!』
 当の昔になくなっているのだから、恋敵を殺したいと叫かれても無駄だ…満場一致の意見なのだが、賢明な彼らはそんなことを言うことはしなかった。
『なぜ、わたくしをお捨てになったのです』
 矛先は綾子や麻衣といった女性側から、坊主である滝川へと移る。
 ずずずい、と近づく歌子姫に対し、引きつった顔も隠そうとせず滝川は後退する。幾ら脳天気でお気楽な滝川とて、やはり例外という物がある。可愛らしい女性からのモーションを袖にするのは可哀想だが、さすがに死んだ女性からのアプローチまで節操なく受けたくはない。丁重に自体をしたいのだが……
『わたくしは、ずっと貴方様だけをお慕い申し上げております…どうか、歌子を…歌子だけをおそばにおいて下さいませ』
 すがるような目で滝川を見ているのかもしれない。
 だがしかし、その形相は普通ではないのだ。これでは、真砂子のかわいさが台無しである。もちろん今現在の状況で真砂子の容姿がどうのこうのといっていられるような状態でもないし、滝川にとっては真砂子も可愛い妹のような存在だから、どんなに可愛くても迫ってこられても困るのだが。
「あ…いや、俺はあんたの恋人だった坊主じゃないんだけ……ど……」
 引きつりながらボソボソと呟く滝川。だが、その声はしっかりと歌子まで届いたのだろう。今まですがるような目をしていたのが、ギンッと睨み付ける物になる。そうなると恐ろしさはさらに倍増し、さらに日本人形のような真砂子がやると余計にその恐怖感は煽られる。
『恐怖・呪われた市松人形』
 麻衣と綾子の脳裏に同時にそんな言葉が浮かんだとしても、しょうがないような形相だった。
『また、わたくしをお捨てになると申されるのか。
 幾度、わたくしを捨てればお気がすむのか。そして、またわたくしを殺されるのか!!』
 最後の言葉に皆が「え?」と息を呑む。
 何か、聞き流せることの出来ない言葉を彼女は叫んだような気がする。
「ジョン…払えるか? これ以上はやめておいた方がいい」
 ナルが隣にいるジョンに囁きかける。ジョンもいつでも動けるように既に身構えていたため、コクリと頷き返す。あらかじめの打ち合わせでジョンが除霊をする間、気を引くために滝川がおとりになることになっている。
 だが、ハッキリ言ってしまえば滝川の腰は逃げ腰状態だ。
 ここまで、怒りを露わにし恨めしげに迫ってくる彼女を前にして、いつもの調子が出ないのだろう。
 だが、完全に彼女の意識が滝川にむいていたため、ジョンが背後に回っていることに気が付かない。後はジョンが上手く立ち回り、滝川が余計なことをして煽らなければ大丈夫だろう。
 ナルが頭の中でどんな風に計算しているのか滝川辺りが知ったら、麻衣に対する慎重さに比べたらかなりアバウトなんじゃないか?というつっこみが出そうな感じであった。だが、ナルも口にすることはなく、また滝川もテレパシストではないため、ナルが何を考えているかまでは悟っていないが。
 ジョンは小声で呟き聖水を振りかける。その時になって背後に回っているジョンに気が付くが、リンが澄んだ音色を発する口笛を吹いて式神を操り、彼女の動きを封じる。その間にジョンは真砂子の身体から、歌子が出ていくように聖書を唱える。
「聖なる身体は汝に永遠に禁じられたものとすべし!」
 最後の言葉を叫び、歌子に…真砂子に聖水をかけると、彼女は苦悶の表情を浮かべもがく。やがて、その身体から黒い煙が出ると逃げるように鐘の方へと消えていった。
 真砂子は完全に意識をなくして、ぐったりと横たわっている。よほど精神力を使い果たしたのか、その顔色は蒼白と言っていいほどで血の気が全く感じさせない。ナルは真砂子の腕を取ると脈の確認をする。
「ナル…どう?」
 不安そうに見つめる中、ナルは疲れて意識をなくしているだけだろうと完結に応えた。
「原さんが休める用意をしておけ。それと、何か身体を暖めるような食べ物も用意して置いた方がいいだろう」
 リンが慎重な手つきで真砂子の身体を抱き上げる。
「判ったわ。あたしが雑炊作って置くから、麻衣はお布団の準備をしておいて」
 綾子がすぐに役割分担を決めると、二人は小走りで寺の中へと戻ってゆく。それに付いていくように真砂子を休ませるべく、寺の方へと足を向ける。
「安原さん」
 ナルが名前を呼ぶと安原は、既に判っていると言わんばかりの笑顔で頷き返す。
「もう一度調べ直してきます」
 安原が調べ直した伝承の中には、「歌子姫が僧侶に殺された恨みで出てきた」という話はなかった。なかったが、彼女は「またわたくしを殺すのか」とハッキリと言ったのだ。彼女が伝承に残っている歌子姫かどうか、判らないが何者かに殺されたということは、彼女の台詞で判る。
安原はすぐに準備をし、情報を仕入れに町へと降りていった。



 真砂子が意識を取り戻したのは、それから少ししてのことだった。若干顔色は悪いが特にこれといって身体に異常はないようである。ゆっくりと上体を起こすと、体の中の凝りを吐き出すように溜息をつく。
「あたくし、呼び出せましたんですのね」
「うん。真砂子大丈夫?具合悪くない?」
 真砂子の肩に上着を掛けて上げながら麻衣が問いかける。
「平気ですわ。ありがとうございます。
 何か、情報は聞き出せましたの?」
「うん。歌子姫の素性はまだハッキリ判らないけれど、ヒントを言ってくれたからそこから安原さんが探し出せると思うよ。はい、お茶」
 ほうじ茶を真砂子に差し出す。
 暖かいお茶を飲んで疲れた身体をいやしてもらいたい。
「ありがとうございます。ヒントってなんですの?」
 憑依されている間の記憶が全くない真砂子に、麻衣はその間どんなことを言っていたかかいつまんで教える。ただし、恋人の証云々は言わなかったが。
 歌子姫は自分を裏切った僧侶よりも、さらにその僧侶を自分から奪ったと言われる女を憎んでいるという。さらに、なぜ自分を捨てたのか、どうして自分を殺したのか、など、切々と訴えていたと。
「歌子姫はさ、完全にぼーさんをその僧侶と勘違いしているんだよね。
 すっごい、迫力で迫っていったもん」
 怖かったなぁ〜〜〜と麻衣が呟くと、真砂子の顔がやや引きつっている。それをいくら意識を乗っ取られていたとはいえ、自分がしたと思うと穴があったら入りたいほどに恥ずかしい。
「まぁ、おかげで少しは安原君も調べやすくなったんじゃないの?」
 カラリとふすまを開けて綾子が盆に雑炊の入ったお椀を持って入ってくる。もくもくと湯気が立っている雑炊は見ているだけで温まってきそうだ。
「身体が冷えているはずだから食べなさい。温まるわよ」
 卵雑炊に三つ葉が浮かんでいるだけのシンプルな雑炊だが、出汁が利いていて美味しそうだ。麻衣も味見と言って少しお裾分けして貰い、舌鼓を打つ。
「殺されたんでしょうか?」
「さぁね。それは、少年が調べてくれば明らかになるんじゃないのかな。そうするとちょっと、道明寺とは話が変わってくるわよね。道明寺の清姫は自分から化生に変わるんだから。自分からというよりも、恋い焦がれ袖にされた憎しみから…俗に言うところの可愛さあまって憎さ百倍って所かしら?」
 どちらにしろ、僧侶に捨てられた姫君達の悲恋には違いない。
 道明寺の話は伝承に過ぎないが、この寺に残っている歌子姫は過去に遭った事件なのだ。僧侶に殺されそれでも恋い慕う歌子姫。それとも、裏切られ殺された憎しみから復讐したくて出てくるのであろうか。
 それだけではない気がする。
 憎しみもあるだろう。だが、それよりも尚強く深く歌子姫は僧侶を恋い慕っているようなきがする。なぜ、自分を裏切ったのか、なぜ殺したのか、どうして…その想いから解き放たれない限り、彼女は自由になれないのではないだろうか。


 真砂子が降霊したとき以来、特にこれと言った反応はない。静まり返っている。機器類にも一切反応はないが、滝川の様子が変である。
「ぼーさんどうしたの?」
 麻衣が気が付いて滝川に問いかける。日に焼けた健康そうな肌がすっかりと青ざめている。近寄るとなんだかヒヤリとした空気が滝川から漂っているようだ。思わず近づいた麻衣もぶるりと身震いしてしまう。
 サーモグラフィーなど通してみても特に異常は見られないところを見ると、体感的な物ばかりのようだ。真砂子が霊視してみるが、どうもハッキリとしないという。気配らしきものが滝川を取り巻いているようにも思えるのだが、ここら辺の空気とどうかしていてハッキリと掴めないらしい。
「ぼーさん、下山した方がいいんじゃない?」
 まだ何も起きてはいないが、このままでは取り返しのつかないことになるかもしれない。昼間の降霊術によって、霊が刺激されたかもしれないのだ。特に夜は霊達の時間でもある。活性化した霊が何をするか判らない。
 だが、既に日が沈み暗くなってしまっている山道を降りるのも危険があった。
「麻衣、あんた夢は視ないの?」
 とりあえずする事もなくなってしまった一同は、ベースに待機していた。暇を弄んでいた綾子は、すっかりと禿げてしまったマニキュアを塗り直しながら、ふと思い出したように麻衣に話しかける。
「見ようと思って見れるもんじゃないし……」
 まだまだ発展途上の力だ。だいぶコントロールができるようになったとはいえ、開発途上である。思うとおりには操れない。今回はジーンも夢に出てこない。情報らしい情報が何一つ入ってこないのだ。
 第六感もどうやらこの寺の雰囲気に飲まれて麻痺してしまったようでもある。初めはこの寺にいるのが肌寒くて怖かったのだが…人間恐ろしいと思うのはこういうときである。長い間いると慣れてしまうのだ。きっと、寺から出たときにはさぞ空気が澄んでいて美味しいと思うだろう。
「いっそうのこと浄霊ないし、除霊しちゃえばいいのよ」
 ブツブツと文句を言い募っているのは綾子だ。彼女は昼間のあの一件以来かなり機嫌が悪い。真砂子を覗いて皆その理由が判っているから、触らぬ神に〜状態である。ただ、理由を判っていない真砂子は呆れたように溜息をもらしているが。
「松崎さん、相手を理解しない内にそのような行動に出るのは、危険ですわよ?」
 内心皆といっても麻衣と滝川とジョンぐらいだが、「あっ…」と呟く。案の定ひくり…と綾子のこめかみが震える。
「いったい幾つだかわからない、バーさんなんてさっさと成仏しちゃえばいいのよ!」
「?」
 いったい綾子がなぜそんなに腹を立てているのか判らない真砂子は、手に負えませんわと言いたげだ。だが、皆は歌子姫に「年増」呼ばわりされたのがよっぱどかんに障っているのだろうと言うことが判った。
「ねぇ、綾子を年増呼ばわりするんだから、綾子より年下だよね?」
 ボソボソと顔を寄せて囁き合っているのは、麻衣と滝川とジョンである。
「麻衣のことを小娘呼ばわりしていたから、麻衣より年上だろうな」
 麻衣と綾子の年齢差は6才ある。麻衣は今現在二十歳であり、綾子は26才。麻衣は童顔であり綾子はやや年上に見られることから(老け顔なんて言った日には命が幾つあったも足りない)麻衣が18歳前後に見られたとして、綾子は20代後半だろうか。三十代に見られていたら、綾子の血管が数本切れてしまうかもしれないが、歌子姫は20代前半だろうか。
「20代前半でしゃろうか?」
「何年前か判らねーけどさ、昔じゃ20代前半で嫁にいってなかったら行き後れだろ?もう少し若いんじゃないのか?」
「ぼーさん、幾ら私でも10代半ばには見られないと思うよ?」
 自分よりも年下に小娘呼ばわりなどされたくはない。
「麻衣、寝ろ。寝て何か情報掴んできてくれ」
 藁にもすがる想いとはこのことかもしれない。特に、滝川は早くこの事件が解決して欲しいと思っている一番の人間だった。皆は直接歌子姫に言い寄られていないから、判らないかもしれないのだが、表現できぬ嫌悪感がこう沸き起こったのだ。できれば、近寄らないでもらいたいというのが、滝川の素直なところである。
「無理はいかんです」
 麻衣が困ったような表情を浮かべていると、ジョンが助け船を出す。それにより、滝川は気が急いていたことに気が付き、ばつが悪そうな顔で悪かったなと誤るが、麻衣はフルフルと首を振る。
「上手く見れるか判らないけれど、見てみる。
 何か、状況変わるかもしれないし…私が夢を見るぐらいだと霊を刺激するワケじゃないし」
 何よりナルがいつサイコメトリーをし出すか判らない。ナルが見るよりかは、自分が見た方が安全だ。
 上手く見たい過去が見れるとも限らない。それでも、何かしら情報が掴めたら安原が過去を捜索するうえでも、さらに重要な手がかりになるかもしれない。
「ナルいいよね?」
 今までリンとデーター整理をしていたナルに了承を得るべく問いかける。ナルは手に取っていた資料から視線を外すことなく、軽く頷き返す。それを了承として麻衣は壁際に座る位置をずらす。
 ゆっくりと瞼を閉ざすと、皆がシンと口を閉ざして麻衣が上手くトランス状態にはいるのを見守る。もちろん、凝視をしていたら変なプレッシャーが掛かるため、皆が皆素知らぬ振りをするが。
 麻衣はすっかりと身体になじんでいる呼吸法を繰り返して、ゆっくりと深い眠りに落ちていく。暗闇の中に、暖かい水の中に漂うように身体が、ふわり…ふわり…と軽くなっていく。柔らかく優しい眠りに包まれて、深く深く…どこまでも、深い眠りに落ちていく…



 闇がざわめく。
 音は聞こえない。それでもざわめいているのが判る。
 寺を囲むように黒い闇はうごめき、寺を覆い尽くすように闇が蠢く。深く侵食していくような闇。暗い炎を宿した闇は誰にも認識されることなく、動き出す。
 ゆっくりと音もなく……誰にも気が付かれることなく。何かを探し求めるかのように。



 麻衣は、ゆっくりと呼吸を伸ばしていく。意識は真っ直ぐに落ちて…落ちて…いったはずなのだが、ぱっちりとその両眼は開いている。
「麻衣?」
 なぜ目を開く。と言いたげな声でナルが問いかけると麻衣は、テヘッと笑う。
「その前に、トイレv」
 緊張感の欠片もない声に、皆が呆れたようにドッと溜息をついた。
「さっさと行ってこい」
 怒気を孕んだ声に麻衣は「自然現象に文句言わないでよぉ〜ナルだってあるでしょう」と、頬をぷっくりと膨らませながら出ていく。
「信じられませんわ」
 真砂子は呆れながら呟く。
「女じゃないわよね」
 綾子も同意見だった。幾ら慣れているメンバーとはいえ……
 「はぁ」おそらく全員がもれなくもらした溜息と思われる音が、静かな室内に響き渡る。


 用を足した麻衣が手を洗ってベースへと戻ろうと蛇口をひねったとき、またいつかのオフィスの時のように、水がすぐに出てこなかった。元々水の出が悪かったため対して気にせず、蛇口を全回にしようと回すと、そこからずるり…と蛇が這い出てきた。青緑の鱗を張りつめた細長い胴が、うにょろ…と出てくる。
「うっ…」
 思わずうめき声を上げて後ずさる麻衣。
 黄色い目が真っ直ぐに麻衣を見る。ぼとっと音を立てて落ちた蛇は、そのまま胴をくねらせながら、真っ直ぐに麻衣に近づいてくる。一匹だけではない、次から次へと蛇が蛇口からぼとぼとと水の変わりに出て、あっという間に足場も、壁も蛇で覆い尽くされる。
 麻衣は半ば恐慌状態になりながら、ここから出なければと思うのだが、恐怖で足が竦んでしまって動けない。この場合は霊が怖いと言うよりも、蛇を嫌う生理的な嫌悪感の方が勝ってしまっているのだ。九字を切れば消えるかもしれないのだが、指一本、硬直してしまって動かすことが出来ずにいた。
 蛇は目的が定まっているのか、定まっていないのか、皆がバラバラに蠢く。おそらく、一生の間にこんなに多量の蛇を見る事なんてないだろうと思うぐらいに、蛇が溢れていた。いや、まだ溢れている。留まることを忘れてしまったかのように、蛇は次から次へと蛇口から姿を現す。
 溢れた蛇は麻衣の足にもその身体を伸ばす。
 ヒンヤリとした感触に耐えきれず、麻衣は悲鳴を上げようとするが、引きつってしまっているのか声すらあがらない。どうにかしなくてはいけないという焦燥だけが先走って、身体がいうことを聞かずとうとうバランスを崩して、その場に尻餅を付いてしまう。
 その瞬間、蛇が蠢いて麻衣の全身を覆う。
 余すことなく全身を蛇に覆われた麻衣は、がむしゃらにその時になって暴れるが、次から次へと覆い被さるようにのし掛かってくる蛇の重さに、意識が霞んでいく。呼吸さえもままならず、やがてその場に蛇に包まれた身体が倒れる。
 何とか逃げなければ。そう思っても意識は紗がかかり、指一本自分の自由にはならない。それどころか、悲しい声が蛇から聞こえてくる。

 切々と訴えてくるような声。
 憎しみに満ちあふれた声。
 業火に焼かれ身もだえる声。

 愛しくて愛しくて、心が狂わんばかりの…叫び。












☆☆☆ 天華の戯言 ☆☆☆
 はたして、越後屋少年は年増に襲われる純朴そうな青年に見られたのであろうか?
 これから、お話は終わりに向かって進んでいくです。
 GWまでかかるかなぁ・・・と思ったけれど、とりあえず今月中には終わるかな? 来月にはさしかからないようにしたいなぁ・・・・・・
 しかし、調査物をするからには一度は迎えたいヒロインのピンチ。今回麻衣チンは、蛇に襲われています。それも、全身蛇に包まれると言う、私なら例え一億もらってもそんな目には遭いたくないです。あ、でも命の保証があってさらに、毒がなくて咬まれないっつーなら、一億もらえばほんの少しの間我慢するかも(笑)でも、やっぱいいちおくでトラウマ作りたくないしなぁ・・・・でも十億ならオッケイするな(笑)









Back             Next